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ハンガリー陸軍 40/43.M 突撃榴弾砲ズリーニィ


 発端は去年の4月、模型店時代のお客さんだったYさんから「ズリーニィの資料本、GUMKAでやりませんか?」と提案されたことでした。その後、Yさん経由でハンガリーの研究家コヴァーチュハーズィ・ミクローシュさんの原稿が届き、読んでみると非常におもしろく、当初は原稿を翻訳して、30枚ほどの写真解説を書くだけだから、秋には出版できるなと気楽に考えてスタートしました。

 しかし、翻訳文の裏取り作業(地名や階級は正確なのか、他資料との整合性はどうかなど)と、それに伴う加筆修正をしていたら、どんどん時間が過ぎて、その間に収録できる写真も増えてきたので

「ズリーニィの本なんて、そうそう出す機会はないんだから、どうせ出すなら開発史だけでなく、構造も詳しく解説して、写真も各生産タイプごとに分け、細部写真も掲載しよう」

 かくして1年以上となりました。自分でも悪い癖だなという自覚はあるのですが、こればかりは治りそうもありません。

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 予想外だったのは原稿・写真解説が全て終了し、あとは編集だけという段階で、担当予定だったデザイナーさんより、本業が多忙で手が付けられないと言われたこと。

 これは秋まで出版が遅れるなと一時期は諦めたのですが、フェイスブックの告知記事を読んだ編集者の加藤武さんが急遽、作業を引き受けて下さり、レイアウトをし直して90ページ以上あった原稿を74ページに減らし、印刷所まで手配してくれて、ただ、ひたすら感謝しかありません。

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 内容は実車の開発史と構造の解説、ロシアに残る実車の細部写真、試作車、先行量産車、第1生産ロット(1943年型)、第2生産ロット(1944年型)それぞれ形式別の写真、新考証に基づくカラー塗装図など。

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 B5版74ページ(表紙を入れると78ページ)カラー9ページ、カラー正面図4点、カラー三面塗装図3点、インテリアのカラー写真、貴重な大戦中のカラー写真2枚の他、収録モノクロ写真は100枚以上。頒布価格は2000円です。 

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 同人誌のため一般書店での取り扱いはありませんが直販サイトの他、下記の模型店でも販売しています。

 イエローサブマリン秋葉原本店☆ミント スケールコーナー(東京都:秋葉原)
 キヤホビー(東京都:荻窪)
 サニー(東京都:下北沢)
 ホビーランド(大阪:本町)
 マキシム(千葉県:市川)

同人誌専門店「コミックとらのあな」「メロンブックス」でもお求めいただけます。


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謎のイタリア迷彩


 昨夏からズリーニィ突撃榴弾砲の同人誌を出すべく、ハンガリーから届いた原稿の翻訳と裏取りをしておるのですが、悪い癖で裏取り過程で「ああ、そうなんだ」となって、本筋とは違うところに深くハマって行く、いつものパターンに陥っています。

 第二次大戦中のハンガリー戦車兵は、イタリア軍の戦車帽にそっくりな革製の39.M戦車帽を使っていましたが、原稿によれば「戦車兵には不人気だった」とあり、細部が気になったので「HUNGARIAN ARMY UNIFORMS 1939-1945」を入手して見ていたら、ハンガリー軍のツェルトバーンの写真にびっくり。

「これは、昔、モスクワで見せてもらった謎のイタリア迷彩だ!」





 1997年、一人で訪露した際、モスクワの軍装収集家の家に招待され、自慢のコレクションを見せてもらいました。本人が一番興味があるのは、1930年代の労農赤軍とのことでしたが、ドイツの軍服や細々とした装備品も沢山集めており、感心していたら、「これは、接収したイタリア軍の迷彩布地を使ったドイツ軍のものだ」と見慣れない迷彩パターンのツェルトバーンを出してきました。

 程度はバラバラながら同じもが3枚あり、彼以外にも所有しているコレクターや研究者がいるので、同じ布地から一定数製造されたものだと説明されました。

 確かにイタリア軍の迷彩と似ているものの、微妙に色やパターン違うので、それを指摘すると「イタリア軍の迷彩布地には様々なパターンがあるから不思議ではない」とのこと。専門家が言うなら、そうなのかな?と一応は納得したのですが、どこか心に引っ掛かりが。


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 今回、この本のお陰で、あれは実はハンガリー軍のツェルトバーンだったと判明し、心の奥底にあったモヤモヤが20年ぶりに晴れました。これだから調べものは止められません。



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ハンガリーAFVの迷彩色


 今秋に第二次大戦中のハンガリー軍AFVに関しての本を出版する計画があり、本国の研究者とやりとりをしています。

 実車の開発史や部隊史、実戦写真、実車マニュアルからの複写画像などが続々と送られてきますが、カラー塗装図が届いたとき「あれ?なんか茶色が違うぞ?」 と。





  これまで西側の書籍や解説記事、プラモの塗装例などでハンガリー軍の三色迷彩の茶色と言えばレッドブラウンが定説でした。これはモノクロ写真への人工着色ですが、茶色はかなり明るいです。


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 香港のブロンコモデルの1/35 ズリーニイ自走榴弾砲のインストですが、茶色の塗装はレッドブラウンと指示しています。


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 先方に確認すると、「この塗装図は正確だ。西側の出版物のハンガリー軍迷彩塗装は間違っている」 と回答があり、証拠となる当時のカラー写真も送ってきました。

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 迷彩色の茶色は、実際には黒に近いダークアースブラウンで、西側の研究者や専門誌、模型誌から記事の依頼や資料提供を求められる都度、塗装色の間違いについて説明するものの無視され続け、ひどい例だと、正確な塗装図を渡したのに出版された本では、わざわざレッドブラウンに改変されていたことも。

 この誤った認識が広まった原因として考えられるのは、ブダペストの軍事博物館に展示されていたハンガリーAFVの模型で、社会主義政権時代に作られたため、考証がいい加減な塗装でしたが、予算不足から、体制崩壊後も長らくそのままでした。おそらく、これを見た西側の研究者や専門家、模型愛好家が国立の軍事博物館だから、これこそが正確なハンガリー軍の迷彩塗装だと勘違いしたのでは?とのことです。

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ちなみにハンガリーの専門誌などは以前からダークアースブラウンでした。

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T-34・T-34-85モデリングブック

 新紀元社の新刊スケールモデルファンDX「T-34・T-34-85モデリングブック」でGUMKAのT-34-85 1943年型砲塔が紹介されました。思い起こせば発売当時、モデルアート誌が新製品コーナーで紹介してくれただけで、他の模型誌はスルー(泣) 今回めでたく、作例付きで掲載していただき、大変にありがたいことです。





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 タミヤ、ドラゴン、AFVクラブ、アカデミーのキットを使ってT-34とT-34-85の各型を製作しており、終わり1/4ページでポーランドの書籍に掲載されたイラストと図面を使った変遷とキット総覧もあるので、とりあえず、T-34を作りたいけど、どんな製品が出ているのか、わからないという方から、「このキット、どこに手を入れれば良かったっけ?」という、ちょっと記憶が怪しくなってきたベテランモデラーまで重宝する内容です。

 実は、先月20日の東大での講演会で教えてもらうまで、この本を知らず、普通に地元の本屋に注文しましたが届くまで結構、時間が掛かりました。この流通だと、すぐ読みたい本は、某アマゾ●やコンビニ店頭で受け取れるネット書店に注文になりますね。

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ソ連から届いた切手帳

 東京大学五月祭の講演用原稿を書くべく、過去の資料を捜していると、いろんな物を発掘しましたが、その中で「これは!」というネタを紹介します。

 私の持っている資料の多くは、まだ、社会主義国だった頃の東欧やソ連の友人から送ってもらったもので、PCもメールもなかったので、郵便でやりとりをしていました。

 チェコ、ポーランド、東独など東欧から発送される郵便物は、手紙も本も写真も問題なく届くのに、ソ連からは雑誌や本はともかく、手紙は遅配や行方不明が、たまにあり、特に戦車の写真が同封される手紙は高い確率で行方不明(未着)になりました。

 ロシア人の友人によれば、本来、第二次大戦中の戦車の写真に関しては、機密もないため、海外発送は問題ないはずなのに、西側行きの手紙に写真が同封されていると、当局によって開封検閲され、検閲官は大戦中の戦車か現用戦車かの区別ができないので全て没収するとのことでした。

 受取る側である私は「まあ、ソ連だからな」と諦めていましたが、発送元である友人は、この仕打ちに、かなり腹を立ており、「当局の裏をかく」と息巻いておりました。

 ある日、彼から「次回は、雑誌と一緒にIS-3の写真を送る」と手紙が届き、翌月、ソ連の模型雑誌と共に一冊の切手帳が送られてきました。




 大祖国戦争がテーマの切手ばかりだったので、最初はプレゼントかな?と思いましたが、一枚の切手が浮いているなと思い、何気なく触ると


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あ、IS-3のカラーポジがこんなところに…


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 これじゃ、まるでスパイ小説です。

 彼によれば、IS-3は第二次大戦中の戦車とは言い切れない微妙な存在なので、当局に没収されないよう工夫したとのことですが、いやいや、そういう問題じゃなくてさぁ…

 このままエスカレートされると彼が逮捕されかねないので、なんとかせねばと考え、ソ連から東欧に写真を送るのは問題なかったため、一旦、チェコの友人宛に送ってもらい、そこから日本に転送する方式に変更し、以降、時間は余計に掛かるものの、無事に写真が届くようになりました。

 もし、私が同じ状況なら、当局に目を付けられるような真似はしませんが、彼曰く「この程度なら逮捕はされない」「万一、呼び出されたら、もっとルールを勉強して社会主義を担う労働者たる誇りを以て職務を遂行しろ、と抗議してやる」とのこと。逞しいのか、アホなのか、反骨精神なのか、はたまた、そういう国民性なのか?

 あまりに衝撃的だったので、切手帳ごと30年くらい保管しておきましたが、講演のネタに使わせていただきました。



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